課題 >> 8. 「個人とそのダイナミックス」 を読んでください。

個人とそのダイナミックス

人間自体を調べると、個人はこれらの各部分に推進力を持っているように思われます。 言い換えると、人は自分の生存のみならず、グループの生存にも等しく興味を持っているということです。

ひとりの人間に関して、これらのダイナミックのどれかひとつをだめにして、「この人には、このダイナミックが存在するわけがない」と言うとします。すると、たちまち問題に突き当たります。すべてのダイナミックスがだめになってしまうからです。 言い換えると、それらは同じレベルへと落ちてきてしまうということです。 あるひとつのダイナミックの半分を切り捨てると、残りのダイナミックの半分も切り捨てたことになるのです。 ダイナミックがこのようにひとまとまりであるということは、個人の生存にとって大変重要なことです。

たった今、私たちの社会全体は「人は自分自身のためだけに考える」という考えに沿って教育されています。 人々は第3のダイナミックを持つように強制され、鞭打たれ、叩かれ、教育されなくてはいけないのです。 彼らは刑務所に入れられなくてはなりません。 彼らは学校に送られなくてはいけません。 彼らは罰せられ、罰金を科せられ、税金を課せられ、投票所へ行き民主党に投票するようにさせられなくてはいけません。 これらのさまざまなことすべてが、人に第3のダイナミックを持たせるために行われなくてはならないのです。

つまり、この社会で、すでにそこにあるものを築くために、彼らは猛烈に働いているのです。 そして、個人を社会に順応させるためのこうした大きな構築物をすべて取り除くと、これらの構築物の背後に、今築かれているどのような人工の構築物よりもずっとすてきな、ずっと頑丈な構築物が存在していることがわかるでしょう。

第4のダイナミックでも同様です。 猫だけが仲間にするのにふさわしく、人間は良くないと考えるような人を知りませんか? このような人々がいるのです。 「人間は良くない。 人間は残酷だ。彼らは獣だ。彼らはひどいことをする。 それに、人類は良くない。人は良くない。 しかし、犬や猫、それに小さなかわいい、口を利かない動物はかわいい。」 つまり、この人はすべてを第5のダイナミックに投げ入れてしまうのです。 彼女はうまくやっていって、生活を続けていくことができるでしょうが、それはその概念が彼女にとっての失敗となるまでです。というのも、それは人工的な概念だからです。

物事に関して首尾一貫している限り、人はこれらのダイナミックスに対して、自分がしたいことはほとんど何でもできます。 そのことで一貫性を失うと、その瞬間に彼はひどい状態になります。

ここでは、8つのダイナミックスのうちのひとつが、他のものよりも重要であるという考えはありませんし、またそういったことも述べてはいません。 それらは、人生という幅広いゲームにある分類(部分)ではありますが、必ずしもこれらが互いに同等のものであるとは限りません。 人によっては、ひとつのダイナミックよりも別のダイナミックに重きを置き、またはいくつかのダイナミックスの組み合わせよりも別の組み合わせに重きを置く、といったことがわかるでしょう。

この分類について説明する目的は、人生を各部分に収めることによって、それに対する理解を高めることです。 このように存在を細分化したことによって、各部分を人生のその他の部分と関連付けて、それぞれの部分をそれ自体として調べることができます。

パズルを解く時には、まず同じような色や特徴のピースを取り上げ、それらをグループごとにまとめる必要があります。 ある主題を研究する際には、秩序立ったやり方で進める必要があります。

私たちの目的上、この秩序をもたらすために、これら8つの任意に分割された人生の部分を想定することが必要です。

これらのダイナミックスをさらに説明するには、連続する同心円を使った表現が一番です。第1のダイナミックが同心円の中心となり、それぞれの新しいダイナミックは、その中心から外へ外へと順々に描かれる円です。 空間が拡張していくという概念が、これらのダイナミックスに入っていきます。

個人の基本的な性質には、そのように他のダイナミックスへと拡張していく能力が含まれています。 ただし、第7のダイナミックに完全に到達して初めて、人は真の第8のダイナミックを発見することができるのです。

これらのダイナミックスを使った例として、人は以下のようなことを発見します。生まれたばかりの赤ちゃんの知覚は、第1のダイナミックを超えるほど冴えてはいません。 しかし、その子が成長し、興味が広がるにつれ、他のダイナミックスを包含していきます。

これを使ったもうひとつの例ですが、第3のダイナミックでうまくやっていけない人は、チームの一員でいることができないため、社会において存在することができないと言えるかもしれません。

どのように行動すれば、私たちはそれぞれのダイナミックをうまく機能させることができるのでしょうか? 周囲の現状を見ても、答えはすぐには見付かりそうにもありません。 それは、ほんの一握りの人々が備えている天賦の洞察力のようにも思われます。しかしながら、これは真実とはかけ離れています。 生存を目指す上で最も望ましい行動方針を決定するためには知識を必要としますが、私たちは誰でもそのような知識を獲得することができるのです。

ダイナミックスは、「第1のダイナミック」を中心に、同心円を次々と描いていくことによって表すことができます。 人は他のダイナミックスを自己と見なす度合いに応じて、この同心円上で拡張していきます。

共通の中心を持つ、ふたつ以上の円。